上海で見た、色と石と、少し先の景色

上海で見た、色と石と、少し先の景色

10月、上海へ行ってきました。

今回の旅で見たかったもののひとつが、ジュエリーと色石です。

ブルガリの過去のアーカイブを見ながら、色石の組み合わせや石の留め方、石をどう見せているのかを、じっくり見てみたい。

そんな気持ちから始まった旅でした。

色石を、どう見せるのか

ブルガリといえば、色石を大胆に組み合わせたジュエリーが印象的です。

ルビー、サファイア、エメラルドだけではなく、トルマリンやアメジスト、ターコイズのような色まで一緒に使う。

かなり強い色同士なのに、不思議とまとまって見える。

私はこういうジュエリーを見ると、石そのもの以上に、

どの石を隣に置いているのか。
どの高さで留めているのか。
金具をどのくらい見せているのか。
石と石の間に、どんな余白をつくっているのか。

そんなところばかり見てしまいます。

「この色の横に、この色を置くんだ」

そんな発見があると、それだけで嬉しくなる。

たぶん私は、宝石を見ることと同じくらい、「石をどう見せるか」を見ることが好きなんだと思います。

上海は、ハンドメイドも面白かった

今回の上海で意外だったのが、ハンドメイドの勢いでした。

街を歩いているとハンドメイドマーケットがあったり、若い人たちが作ったアクセサリーや雑貨が並んでいたり。

そこに並ぶ色やデザインを見ていると、日本との違いも感じます。

日本で最近よく見る色とは少し違うものが普通に使われていたり、逆に、日本ではあまり見なくなった雰囲気が新鮮なものとして取り入れられていたり。

「今、かわいいと思われているもの」は、世界共通ではない。

当たり前のことなのですが、海外へ行くたびに改めて思います。

日本だけを見ていると、見えなくなるもの

日本にいると、日本で流行しているものが、そのまま世界の流行のように感じてしまうことがあります。

でも少し外へ出てみると、まったく違う色が選ばれていたり、違う形が支持されていたりする。

それを見るのが、私はとても好きです。

天然石の買い付けも同じです。

今の日本で売れそうな石だけを見るのではなく、

世界では今、何が面白がられているのか。
どんな色が使われているのか。
どんな組み合わせが新しく見えるのか。

自分の「選ぶ目」も、ときどき外へ連れ出さないといけない。

上海を歩きながら、そんなことを考えていました。

一度も財布を出さなかった上海

そして、石とはまったく関係のないところでも上海には驚かされました。

滞在中、私は一度も財布を出しませんでした。

本当に、一度も。

小さなローカルのお店でも、移動でも、ほとんどすべてスマートフォンで完結。

両替もしませんでした。

昔ながらの建物や小さなお店が残っているすぐ横で、決済や移動は驚くほどデジタル。

古いものと新しいものが、同じ街の中で当たり前のように共存している。

その感覚も、とても上海らしく感じました。

自分で行ってみないと、わからない

食事も印象的でした。

「中華料理」というと、油が多かったり、辛かったり、味が濃かったりするイメージを持っていました。

でも上海で食べた料理には、意外とやさしく、さっぱりした味付けのものも多かった。

香りはしっかりあるのに、思っていたより軽い。

知識として知っていることと、自分でその土地へ行って感じることは、やっぱり違います。

ちょうど大型連休の時期でもあり、どこへ行っても人、人、人。

その人数にも圧倒されました。

街を歩く人の勢いも、お店の数も、消費のスピードも。

上海には、とにかくパワーがありました。

写真だけでは伝えられなかったもの

最近、私はYouTubeにも力を入れています。

これまでANAM gemsでは、天然石をできるだけきれいな写真で伝えることを大切にしてきました。

もちろん、写真は今も大好きです。

一枚の写真だからこそ伝わる色や、光があります。

でも動画を撮るようになって、石について伝えられる情報は、思っていた以上に多いことに気づきました。

石を少し傾けた瞬間に出る光。
連を動かしたときの色の重なり。
透明感。
カットの反射。
手のひらにのせたときの大きさ。

写真では一枚に閉じ込めていたものが、動画なら、その前後まで見せることができます。

海外へ行けば、その石に出会った街の空気まで残すことができる。

石を選ぶことと、伝えること

今回の上海でも、写真と動画をたくさん撮りました。

そして改めて、石を見る目だけではなく、「どう伝えるか」も、もっと磨いていきたいと思いました。

きれいな天然石を仕入れる。

それだけではなく、

なぜ私はこの石を選んだのか。
どんな光を持っているのか。
どんな色と合わせたら面白いのか。

そこまで含めて届けることも、今のANAM gemsに必要なことなのだと思っています。

ANAM gemsでは、天然石ビーズやルースをただ販売するだけではなく、石の表情や選んだ理由、その石から広がる作品の可能性まで伝えていきたいと思っています。

世界を見ながら、石を見る

ブルガリのジュエリーを見て。

上海の街を歩いて。

ハンドメイドマーケットを眺めて。

スマートフォンひとつで一日を過ごして。

一見、まったく違うものを見ていたようで、振り返ると全部、

「今、人は何に心を動かされるのか」

を見ていた旅だった気がします。

バイヤーだから、石を見る。

でも、石だけを見ていたくはありません。

街も、服も、ジュエリーも、ハンドメイドも、そこにいる人も。

世界を見ながら、また石を見る。

そうすると、昨日までと同じ一粒が、少し違って見えることがあります。

そんな瞬間を、これからも大事にしていきたいと思います。

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