
フローライトの中でも、特別な名前を持つ石があります。
それが ブルージョン(Blue John) です。
紫と黄色が自然に混ざり合う縞模様を持ち、産地はほぼ英国ダービーシャー州のみ。
日本では実物を見ることがほとんどできないこの石を、今回、現地の鉱山洞窟で直接見る機会を得ました。
ブルージョンとは?|フローライトの中でも特異な存在

ブルージョン(Blue John)は、フローライト(蛍石)の一種です。
ただし、一般的に知られている透明感のあるフローライトとは性質が異なります。
- 紫と黄色が帯状・島状に混ざり合う縞模様
- 通常のフローライトは単結晶だが、ブルージョンは珍しい多結晶質で産出される
- 主な産地が英国ダービーシャーに限定されている
18〜19世紀には壺や装飾品などの工芸品として高い人気を誇り、
英国王室やバチカンに現存するブルージョン製の装飾品 も知られています。
ブルージョンのタイプ|模様の出方による違い
ブルージョンの魅力は、何よりも模様の表情にあります。
一見似ているようでも、産出された場所や形成条件によって、縞の出方は大きく異なります。
縞模様の主な違い
- 帯状にくっきり分かれるタイプ
- 島のように斑状に現れるタイプ
- 紫が強く、黄色が淡く溶け込むタイプ
一つひとつが異なる表情を持つこと自体が、ブルージョンの価値 だと、現地で実感しました。
なぜブルージョンは原石で流通しないのか

現在、ブルージョンが産出される鉱山一帯は自然保護区に指定されています。
- 年間の産出量は500kgと厳しく制限されている
- 多くは工芸品・装飾用途として加工される
- 原石のまま市場に出ることはほとんどない
露頭(地層に現れた状態)のブルージョンを現地で見ること自体が非常に貴重です。
英国ダービーシャーの鉱山洞窟へ

鉱山洞窟の内部は、天井が低く、足元には水が滴る環境。
ライトに照らされると、壁一面に紫と黄色の帯が浮かび上がります。
- フローライトそのものが地層を形成しているような空間
- 切り出された断面で、縞模様がはっきり確認できる場所
- 2014年に発見された、150年以上ぶりの新しい鉱脈
研磨されていない状態でも、
ブルージョン特有の模様が明確に確認できました。
実際に歩いた洞窟の暗さや、水が滴る音、 紫と黄色の縞模様が浮かび上がる瞬間は、動画で見るとより分かりやすいと思います。 現地の様子をそのまま記録した映像はこちらです。
紫と黄色はどうやって生まれたのか
- 紫色:形成時に浴びた自然放射線の影響
- 黄色:地層中に含まれていた鉄分が風化して生じた色
- 塊状構造という特殊な成長条件
自然と時間が重なって生まれた模様であり、人工的な再現はほぼ不可能です。
化石と鍾乳石が語る、さらに古い時間

この地域は、約3億年前、温暖で浅い海だったとされています。
- 貝などの生物の化石
- 天井から伸びる鍾乳石
- 床から成長する石筍
ブルージョンが生まれる以前の、さらに長い地球の時間を感じる空間でした。
原石との出会い|旅の記念として

見学後、特別にブルージョンの原石スライスを手に取らせてもらいました。
夕日に透かすと、紫と黄色が柔らかく溶け合う色合い。
日本ではまず出会えない、加工前のブルージョン です。
ブルージョンを「知る」ということ

- 産地が年間500kgと極めて限定されていること
- 英国の工芸史とともに愛されてきたこと
- 自然と時間が重なって生まれた模様であること
英国Gem-A(Gemological Association of Great Britain)で宝石学を学ぶ中で資料として見てきた石を、
産地で、原石で、露頭で見る という体験は特別なものでした。
ANAM gemsでは、こうした石の背景や成り立ちを大切にしながら、
一つひとつの石と向き合っていきたいと考えています。
こうした背景を持つブルージョンの中から、ANAM gemsでは模様と質感を見極めてセレクトしています。
実際に取り扱っているブルージョンはこちらからご覧いただけます。 → ANAM gems セレクト|ブルージョン