香港ジュエリーショー2026で天然石ビーズとルースを選ぶANAM gemsのMOMO

香港ジュエリーショー2026へ。天然石の海外買い付けで、もう一度「選ぶ目」を確かめた旅

2026年3月、香港へ行ってきました。
目的は、香港ジュエリーショーでの天然石の海外買い付けです。

世界中から集まった天然石ビーズやルースを前にして、
あらためて「石を選ぶ」ということについて考えました。

香港ジュエリーショー2026へ

香港ジュエリーショーの会場には、数えきれないほどの宝石が並びます。

ダイヤモンド、色石、真珠、ルース、天然石ビーズ。
右を見ても石。左を見ても石。
歩いても、歩いても、まだ石があります。

宝石が好きな人にとっては夢のような場所ですが、ずっと見ていると、だんだん目も頭も疲れてきます。

さっき見た石のほうがよかった気もする。
でも、その売り場がどこだったのか、もう思い出せない。

大きな香港の宝石展示会での買い付けは、華やかに見えて、実際にはかなり地道です。

たくさんの石を見ることと、本当に選べることは、少し違います。

写真ではわからない天然石の表情

海外から天然石を仕入れるとき、写真や動画だけで判断しなければならないこともあります。

けれど写真は、光の当て方や撮影環境で印象が変わります。

透明感があるように見えたのに、実物は少し曇っていた。
やさしい色に見えたのに、届いたら思っていたより鮮やかだった。
粒がきれいに揃って見えたのに、連全体で見るとばらつきが大きかった。

私もこれまで、写真だけの海外仕入れでは何度も失敗しています。

だから香港ジュエリーショーでは、できるだけ石を手に取り、角度を変えながら見ました。

一粒だけではなく、連全体を見る。
色の濃淡を見る。
穴の位置や欠け、表面の状態も見る。

写真で「きれい」と思うことと、手に取って「届けたい」と思うことは、同じではありません。

海外買い付けで難しいのは、買わないこと

資料や買い付け品が多くなり、片手が内出血するほど荷物が増えます。

会場には、日本ではあまり見かけない天然石や、思わず立ち止まってしまう色のルースが並んでいます。

見ていると、あれも欲しい、これも気になる、と気持ちが大きくなります。

海外まで来たのだから、何かを見つけて帰りたい。
せっかくの香港買い付けなのだから、できるだけ多く仕入れたい。

そんな気持ちになることもあります。

でも、海外買い付けで本当に難しいのは、たくさん買うことではありません。

惹かれた石を、それでも買わないと決めることです。

美しいけれど、価格と品質が合っていない。
一部の粒はきれいだけれど、連全体では納得できない。
石名や処理について質問しても、説明がはっきりしない。

そういう石は、一度手を離します。

戻ってきて、やっぱり必要だと思えば、もう一度見る。
その間に誰かが買ってしまうこともあります。

それでも、焦って選ぶよりはいいと思っています。

石を仕入れるということは、石を買うだけではありません。
その石について、お客様や作家さんへ説明する責任も一緒に引き受けることだと考えています。

同じ石名でも、同じ石ではない

天然石ビーズは、同じ名前で販売されていても、実際の表情は大きく異なります。

同じアメジストでも、色の濃さや透明度、内包物の入り方はさまざまです。

同じアクアマリンでも、明るいブルー、グレーを含んだ静かな色、内包物が光をやわらかく散らすものがあります。

均一で整った石が合う作品もあれば、少し揺らぎのある石だからこそ生まれる作品もあります。

石の名前やサイズだけでは、その違いまでは伝わりません。

手のひらにのせたときの光。
連を動かしたときに重なる色。
一度通り過ぎたのに、なぜかもう一度見たくなる表情。

香港まで天然石を買い付けに行く理由は、こうした言葉にしづらい違いを、自分の目で確かめるためでもあります。

Gem-Aで学んでも、現場では迷う

私はGem-Aで宝石学を学び、FGAを取得しています。

鉱物の性質や鑑別、天然石に行われる処理について学んだことは、海外買い付けでも大きな土台になっています。

けれど、資格を持っていれば、目の前の石がすべてわかるわけではありません。

とくに天然石ビーズの流通では、原石の採掘から研磨、穴あけ、販売までを完全に追うことが難しいものもあります。

売り手の説明だけでは、産地や処理を断定できない場合もあります。

そんなときは、無理に答えを作りません。

わからないことは、わからないままにしない。でも、根拠がないことを言い切らない。

必要であれば鑑別機関を頼り、それでも確認できないことは、断定せずにお伝えします。

知識は、何でも言い切るためではなく、どこから先は言い切れないのかを知るためにも必要なのだと思っています。

ANAM gemsへ連れて帰る石

数日の展示会ですが、2回建てのブースなど立派なブースがたくさん並びます。

 

香港ジュエリーショーで見た石を、すべて仕入れるわけではありません。

ANAM gemsへ連れて帰りたいと思うのは、ただ高価な石や希少な石だけではありません。

手に取ったとき、作品の景色が浮かぶ石。
主役ではなくても、隣の石をきれいに見せてくれる石。
色をつないだとき、思いがけない表情を見せる石。

「この石なら、どんな作品になるだろう」

会場でそう思えたものを選んでいます。

帰国後には、仕入れた天然石ビーズやルースを、もう一度確認します。

展示会の強い照明ではなく、自然光や普段の撮影環境でも見る。
石名や処理について整理する。
連全体の状態を、あらためて確認する。

会場では華やかに見えた石が、日本に戻ると静かな表情を見せることもあります。

その時間を経て、ようやくANAM gemsに並びます。

石を見るために、また旅に出る

今は、オンラインでも世界中から天然石を仕入れられる時代です。

それでも私は、ときどき現地へ行きたいと思います。

石を自分の目で見るため。
売り手と話すため。
そして、自分が今どんな色や表情に惹かれているのか、確かめるため。

香港ジュエリーショー2026で見た、数えきれないほどの石たち。

その中からANAM gemsへ連れて帰った天然石ビーズやルースを、これから少しずつご紹介していきます。

この旅で見つけた一粒が、いつか誰かの手の中で、思いもよらない作品になる。

買い付けをしながら想像しているのは、いつも、その先にある景色です。

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